15.03.03クリスタルパレス戦マッチデイマガジン 吉田麻也インタビューの和訳

2015年3月16日月曜日
こんばんは。
ここを久しぶりに更新します。
彼がセインツに入団してから2年半。やっとマッチデイマガジンの表紙になる日がやってきました!



3/3のクリスタルパレス戦での発売。
この試合吉田麻也は先発フル出場、そしてチームも勝利!
良かった良かった。

一足先に本誌を手にしてた私、一念発起してインタビューを和訳しました。
なるべく意味を読み取り、彼の話し方と大きな違いがないように訳したつもりです。

このマッチデイマガジンは売り切れになってしまったので、買い逃した方も是非ご覧下さい。
ただ、ただ、彼のひたむきな思いを。



MAYA WAY(麻也の辿る道)


吉田麻也が今シーズン証明したことを一つ挙げるとするならば、それはサウサンプトンのスカッドに必要とされる信頼されるメンバーとなったことではないだろうか。

そしてそれは「進歩の兆し」として日本人ディフェンダーである彼が誇りに思っていることだ。前監督のマウリシオ・ポッチェッティーノのもとでは悔しいシーズンを過ごしたのち、今年の1月に新たに3年契約を結んだこともあり、吉田は現在のセインツの一員であると強く思えるようになっているようだ。

自分のポジションでファーストチョイスでないこと知りながら契約を遂げようとする選手はなかなかいない。しかしファーストチョイスになるんだというチャレンジを吉田は自分自身に課している。

2012年からこのクラブと共に歩み、吉田はクラブの成長に適合してきた。そしてさらに良い選手となるために正しい決断をしたと確信しているようだ。

ジョセ・フォンテとトビー・アルデルワイレルトのCBコンビが優先されている中、吉田はこれまでのところ控えに甘んじているが、彼はプレミアでレギュラーを獲れるレベルに達するという目標を見据えている。

週末のウエスト・ブロミッジ・アルビオン戦の前に、彼がいかにサウサンプトンというクラブににぴったり合っているかをSAINTS編集部に語ってくれた。



SAINTS編集部:あなたがここに来た頃から見て、クラブはどう変わったと思いますか。

吉田「サウサンプトンに来た始めのころ、チームはチャンピオンシップ(2部のこと)から昇格したばかりでした。
すべての選手、僕もでしたが、適合するのに少々難しさを感じていました。
2回のトレーニングしかしてなくて、チームメイトの名前もよく知らないという状況の中、アーセナル戦でデビューしたのを覚えています。その年のシーズンに苦労したことも。
しかし今は違います。でも哲学は未だ同じままです。僕たちは正しい道に進んでいると思いますし、仲間であるチームメイトや監督の為に僕たちはただ進み続けたいと思っています。」


SAINTS編集部:オランダでもプレー経験がありますが、当時からロナルド・クーマン監督のことを知っていたのではないかと推察しますが?

吉田「シーズン前のキャンプの初めに監督と話をしました。
『オランダのスタイルは分かっているだろう。だから私のことも理解しているはずだ』と彼が言ったので僕は『はい、そうですね』と返しました。
その後数回のトレーニングを経て、僕はすぐに監督が意味してたことや求めていることがわかりました。それは僕には好材料で、監督にとっても好都合だったのではないかと思います。
僕が大好きな実に伝統的なオランダのサッカーでした。

現在僕たちのサッカーやポゼッションのやり方は素晴らしいと思います。それが今のところ良い結果が出ている理由だと思います。
僕はオランダ人監督が何を求めるのかを理解しています。規律を守ることをよりリスペクトし、それをサッカーにも求めます。
僕としては監督がサウサンプトンに来てくれて非常によかったと思っています。」


SAINTS編集部:監督は現役時代ディフェンダーでしたが、バックラインの選手たちにどう指導していますか?

吉田「監督はセンターバック一人一人にあまり多く物を言いません。
ただしキャプテンであるジョセ(・フォンテ)には個別で伝えることはあると思いますが。
しかしトレーニングの中で彼が求めるものと同様に、求めていないものも感じることができます。毎回のトレーニングは充実していますし、サッカーに集中できます。常にジョセとトビー(・アルデルワイレルト)との競争があるという素晴らしい状況に自分が置かれています。
今のところこれが自分が向上していくための材料だと思います。」


SAINTS編集部:負傷や出場停止のため、監督はこの数週間あなたを左サイドバックとして起用していました。それについてはどう思いましたか。

吉田「ナイジェル(・アドキンス元監督)やマウリシオ(・ポチェッティーノ前監督)の元でも2、3回サイドバックでプレーしたことがあります。とても大変でしたけど。
今シーズンも何度かありましたね。クーマン監督に『そこ(左サイドバック)でもできると私に証明しなければならないよ』と言われたので、僕は応えました。
QPR戦の時は、監督は2人より1人だけ普段と違うポジションでプレーさせる方がいいと思ったようです。(前半26分で左サイドバックのターゲットが負傷し、CBのガルドシュと交代。吉田は急きょ左サイドバックにチェンジした)
試合後の監督のインタビューで『麻也はそのポジションができると言った』と話してたようですが、本当は『やってみます!』と言ったんです。
確証がありませんでしたが、でも結局は勝ち点3を挙げることが出来たので良かったと思います。
左サイドバックでプレーするのはいつもとは違うものではありますが、今は気持ちよくできるようになってきました。

今のところ自分がセンターバックのファーストチョイスではないと分かっています。最優先すべきは全ての試合に出られるように挑むこと。願わくばセンターバックとして。
しかしプレミアリーグのシーズンは長いですからチームのためにプレーできる準備をしておかなければなりません。僕はチームのために自分がすべき課題を理解し、ベストを尽くします。ファーストチョイスにしたくなるようなプレーをしなければなりません。
もちろん自分はプレミアリーグでベストの左サイドバックではないと分かっていますが、そのポジションに見合うレベルのプレーをしないといけないのです。」


SAINTS編集部:トビー・アルデルワイレルトやジョセ・フォンテとの、あなたの望むポジションでの競争についてどう思いますか。

吉田「この2年間ジョセ(・フォンテ)はとても良いプレーをしていますし、トビー(・アルデルワイレルト)もアヤックスでいい経験を積んで来ています。だから監督も彼をこのチームに連れてきたのでしょう。
公平に言えば2人は非常にいいプレーをしてきていた一方で僕はマウリシオのもとで昨年とても厳しいシーズンを過ごしていました。

選ばれることもチャンスを与えられることもほぼ無く、僕はサッカー以外のことまで色々と考えていました。1つの試合に出られなくても次があるかもしれない、でもそうやって過ごす事は僕には時間の無駄と思えました。

僕はサッカーに集中しなければならないですし、自身の向上に集中すべきです。少しでも上手くなることにひたすら集中すれば僕がプレーするチャンスや機会を得られると思います。
もしあの頃のようにあれこれ考えていたら、今僕はサッカーのことだけを考えていないでしょう。だから上手くなることだけに集中することが重要となるのです。
ここが昨シーズンの吉田麻也と現在の吉田麻也との違いですね。

今シーズンはスカッドの一員だとより強く感じられます。
昨シーズンはたびたびメンバー外になっていたので一員という気持ちになれませんでした。
でも今シーズン、怪我から復帰してもベンチに入ることもあるし、時には出場したりできているので良かったと思います。

かつて過ごしたドイツやオランダなどの国々よりもここイギリスでの生活はより楽なものです。
主な理由はやはり英語を理解できるところです。少しですが新聞を読めますし、何が書かれているかも理解できます。

ロンドンには日本人の大きなコミュニティがあります。こちらでも和食は高価なのにおしゃれなものと捉えられていますね。だからもしグラツィアーノ(・ペッレ)と和食を共にする時があったら『(食事代を払う価値があるから)払ってもいいんだよ』って彼に言いますよ!

妻もここサウサンプトンで幸せに過ごしています。ロンドンからあまり離れていませんし、彼女にはサウサンプトンでの友人もいます。暮らしていくには素晴らしい場所です。」


SAINTS編集部:あなたがこのクラブに来てから多くの新加入選手がやってきました。彼らがチームに溶け込めるために何かしたことはありますか。

吉田「このクラブはとても歓迎してくれるので、とても溶け込みやすいですね。
特にクラブキャプテンのケルビン・デイビス、そしてスタッフの方達にチームメイトのみんなは、いつも新加入の選手に対して暖かく迎え入れています。だからみんなクラブのために力を尽くすようになります。

プレミアリーグに挑戦するということはイギリス以外の選手にとってとても難しいということも理解しています。トップレベルですから。たとえばアフリカやアジアの選手だと、速やかに慣れることは容易ではありません。それを踏まえると僕は素晴らしいクラブを選んだと思っています。

オランダのエールディビジでプレーした選手がこのクラブには数多く在籍していますので、彼らのことを少し知っています。(エルイェロ・)エリア、ドゥシャン(・タディッチ)、(グラツィアーノ・)ペッレ、それと最近加入したフィリップ(・ジュリチッチ)。
(オランダとイギリスの)違いを理解できますので、住まいや車など必要なことについても分かります。
今はその辺について最優先でサポートしてもらえるようになりましたが、僕のできることがあるなら手助けをしたいと思っています。現在は僕が移籍してきたころよりも、新しくやってくる選手にとって随分楽になっていると思います。」


SAINTS編集部:この数年イギリスと日本を往復することが何度もったかと思いますが、サウサンプトンというチームは国際的に認識されて来ていると思いますか。

吉田「もちろん、そう思います。先日のオーストラリアでのアジアカップでもたくさんのサウサンプトンのユニフォームを見かけました。
サポーターグループが僕のことを見つけてくれたので、優勝したら自分のユニフォームを彼らにプレゼントしようと思っていたのですが、残念ながら敗退してしまいました。

僕たちの(サウサンプトンの)試合は世界中で視聴されています。なので、日本代表で遠征するとあらゆる人に『サウサンプトンは素晴らしいチームだね』って言われるんですよ。」


SAINTS編集部:先ほどアジアカップについて話がありました。日本代表の何が良くなかったのでしょうか。そして大会の経験はいかがでしたか。

吉田「ワールドカップの後、日本のサポーターの中には日本代表に不満を持つ人たちがいました。アジアカップは僕たちにとってリスタートしたことをその人たちに見せる機会でしたが、残念ながら準決勝を突破することができませんでした。

最高のレベルでは小さなことが違いを生み出してしまいます。僕は未だにそのことで落胆しています。UAE戦では75回ものチャンスがありながら、ゴールできずに終わりました。代表には様々なことがありました。監督も変わることになりました。
でも僕たちは前を見るのです。なぜなら人生が続いて行くようにサッカーも続いて行くかからです。

僕たちは再度リスタートすることになりました。日本のサッカーは下降をたどるという人がいますが、僕はそうは思いません。
10年前と比較してヨーロッパでプレーする選手がとても多いのも理由です。日本は今日まで進化してきました。しかし世界の強豪国も同じ期間で進化しています。彼らに追いつきたいのであれば、もっと進化して行かなければなりません。」


SAINTS編集部:その姿勢はセインツの今シーズンに響いていくでしょうね。今後、シーズン終了までのチームでの目標は何ですか。

吉田「他の人たちはチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグのことを話題にしていますが、僕たちはそんなことを考えていません。
すべての試合に勝ったとしたら、最終的にどちらかに挑戦する権利が得られるでしょう。でもこのところの僕たちは苦戦しています。だからやるべきことをやる。僕たちが心がけている『すべての試合を無失点にし、得点の機会をもっと作る。』をキープしていく。これができれば素敵な結果がついてくると僕は信じています。

最低限でも昨シーズンよりはいい結果を出したいですね。プレーできる試合はいっぱい残っていますから。」


<終了>
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